日本人の歯並びは先進国最低?歯科医が教える矯正と口腔ケアの必要性

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76%の在日外国人が「日本人の歯並びは悪い」と回答

2012年、アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社が、日本在住の外国人100人を対象に日本人の歯並びに対する印象を調査しました。その結果は、かなり衝撃的なものでした。

「歯並びが良い」と答えた人はわずか4%
「歯並びが悪い」と答えた人は76%

さらに先進国で最低、ひどさに驚く、なぜ治さないのかといった声まで寄せられたといいます。

まさか、そこまで…と思った方もいるかもしれません。でも、これが世界から見た日本の口元の現実です。グローバルに活躍する時代において、歯並びはもはや個人の好みでは済まされない問題になってきているのです。

八重歯はかわいいは日本だけの独自美学

先日、ある女子高生が矯正相談にいらっしゃいました。「前歯のガタガタは治したいのですが、八重歯はそのままにしてください。だって、八重歯があったほうがかわいいから」その言葉に、私は思わず言葉を失いました。

八重歯を残したままの矯正治療というのは、基本的に成立しないのです。でもそれ以上に驚くのは、日本独自の美意識が、今もなお若い世代にしっかりと受け継がれているという現実でした。

1980年代に花開いた「八重歯ブーム」

振り返れば、1980年代の日本では女性アイドルに「八重歯」が必須条件とも言えるほどのブームがありました。あえて「付け八重歯」をする人が出るほど、八重歯は「チャーミングポイント」として愛されていた時代があったのです。

独自の美意識とグローバルスタンダードの温度差

もちろん、独自の美意識そのものを否定するつもりはありません。しかし一方で、欧米をはじめとする世界の多くの国では、八重歯は治すべき歯並びの乱れとして認識されています。グローバルスタンダードとの間に、これほどの温度差があるという事実は、知っておくべきことでしょう。

日本人の歯並びが悪くなりやすい「骨格的な理由」

「でも、なぜ日本人に歯並びが悪い人が多いの?」

これには、実は生物学的な背景があります。

顎のアーチの広さが歯並びを左右する

美しい歯並びを維持するためには、歯がきれいに収まるだけの十分な顎のアーチが必要です。欧米人は顎のアーチが大きく横にも広いため、歯が自然とアーチ内に収まりやすい骨格をしています。

これに対して、日本人を含むアジア系の方は顎のアーチが狭い傾向があります。スペースが不足すると、歯は収まりきらずに重なったり、飛び出したりします——これが八重歯や出っ歯の大きな原因の一つです。

「骨格だから仕方ない」で終わらせない意識改革を

つまり、歯並びが悪くなりやすい骨格的な素地があるからこそ、矯正治療や予防的な口腔管理が、より一層重要になるのです。もともとそういう骨格だから仕方ないで終わらせるのではなく、だからこそ意識的にケアする——この発想の転換が大切です。

口元を隠す文化が、歯並び意識を遅らせた

もう一つ、見逃せない文化的背景があります。

「口元を見せない」ことが上品さの象徴だった時代

日本には古くから、口は小さいほうが美しい、歯を見せてゲラゲラと笑うのははしたない、口元は手で隠すのが礼儀という価値観が根づいていました。特に女性に対しては、口元を見せないことが「上品さ」の象徴とされてきた歴史があります。

文化が生んだ「歯並びへの無頓着さ」

この文化的背景が、歯並びの問題に気づきにくい環境を作ってきたと私は考えています。口元を隠せば、歯並びが悪くても他人に指摘されません。指摘されなければ、治す動機も生まれにくい。さらに、八重歯がチャームポイントとして肯定される文化も相重なって日本固有のガラパゴス化現象の歯並びへの無頓着さが培われてしまったのです。

グローバル時代に求められる「口元の意識改革」

「でも、海外の基準に合わせなくてもいいんじゃないの?」

その気持ちも、十分わかります。美意識に正解はありませんし、文化の多様性は大切にされるべきです。

歯並びはビジネスの場でも第一印象の構成要素

ビジネスの場で海外の方と向き合うとき、歯並びや口腔ケアの状態は、言葉を超えた第一印象の構成要素として確実に見られています。欧米のビジネスエリートは相手の歯の状態を瞬時にチェックし、その人の自己管理能力や信頼性を判断しています。

歯並びは「見た目」だけの問題ではない

第一印象を左右するだけでなく、歯並びは噛み合わせ・発音・消化機能・顎関節の健康にも深く影響します。「見た目の問題」と片づけるにはもったいない、口腔全体の健康に関わる重要な要素なのです。

矯正治療は特別なことではなくなってきた

かつては矯正は子供のもの、大人になってから始めるのは遅いというイメージがありましたが、今は違います。

マウスピース矯正の普及で参入障壁が大きく低下

マウスピース矯正の普及により、目立たない・痛みが少ない・取り外しができる、という特徴から、大人の矯正治療への参入障壁は大きく下がっています。仕事をしながら、誰にも気づかれずに歯並びを整えている患者さんを、私は毎日のように診ています。

歯並びを整えることで人生まで変わっていく

歯並びを整えることは、見た目の改善にとどまりません。噛み合わせが改善されることで、頭痛・肩こり・顎の違和感が緩和されたと感じる方も多く、さらには自信ある笑顔が生まれることで表情・コミュニケーション・仕事のパフォーマンスまで変わっていくそんな劇的な変化を、私はこれまで数えきれないほど見てきました。

おわりに|「知ること」が、すべての変化の始まり

76%の外国人が「日本人の歯並びは悪い」と感じている。この不名誉なデータは、批判ではなく、私たちへの気づきのチャンスだと受け取ってください。

文化的背景も、骨格的な要因も、すべて理解した上でそれでも今、自分の歯並びや口腔環境を見直してみる価値は十分にあります。

「自分の歯並び、少し気になっているんだよな」と思っているあなた。まずは一度、矯正相談や定期検診に足を運んでみてください。歯科医師の目から見た客観的なアドバイスが、きっとあなたの背中を押してくれるはずです。

口元が変われば、笑顔が変わる。笑顔が変われば、人生が動き出すそう信じています。

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この記事を書いた人

歯科医師・歯学博士
国立大学法人東京医科歯科大学歯学部歯学科首席卒業。
在学時、英国キングスカレッジ・ロンドン歯学部に留学。その後、東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医を経て、東京医科歯科大学大学院に入学し博士号取得。大学院在学中には日本学術振興会特別研究員も務める。
日本歯科総合研究所を2017年に設立し、代表取締役社長に就任。
「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。

〈メディア実績〉
・フジテレビ ほんまでっかテレビ
・テレビ東京『なないろ日和』
・小学館『女性セブン』
・日本歯科新聞
・講談社『mi-mollet』
・テレ東プラス+
・光文社『CRASSY』
・PIVOT

〈監修〉
・コニカミノルタ口臭測定器
『kunkun dental』監修

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