日本と欧米で、なぜここまで歯の残存数に差が出るのか
歯磨きの仕方は専門家に学ぶという欧米諸国の子どもたち
欧米では予防歯科の考え方が社会に深く根付いていて、小さな頃から歯科医院に通うことが当たり前になっています。正しいブラッシングの方法も、親からではなく歯科の専門家から直接教わります。だからこそ、デンタルフロスを使うケアが子どもの頃から習慣になり、大人になっても職場にデンタルフロスを置くことが自然な光景になっています。幼少期に身についた習慣は、何十年経っても続くものです。
日本では、ブラッシングの方法を教えるのは多くの場合、親です。正しい知識を持った親がきちんと教えるなら問題はありません。しかし、親自身が間違った磨き方をしていたら、どうでしょうか。当然、子どもも同じ方法を引き継ぎます。健康意識が高い親であっても、歯に関する知識だけは持ち合わせていないケースが少なくありません。結果として、家族全員が長年にわたり誤ったブラッシングを続けている家庭は珍しくなく、デンタルフロスの存在自体を知らないまま育つ子どもも多いのが現状です。
80歳の歯の残存数が示す、習慣の差
こうした生活習慣の積み重ねが、80歳時点の歯の残存数という数字に明確に表れています。予防歯科先進国のスウェーデンが19本、アメリカが18本であるのに対し、日本は15本と大きく後れをとっています。この数字は平均値であり、貧困層のゼロ本という極端な数字が平均を押し下げているという背景もあります。つまり歯の健康を意識して生活してきた欧米のエリート層は、80歳になってもほぼすべての歯が残っていて、毎日の食事を自分の歯で楽しんでいるのです。
人は20本以上の歯があれば、食生活にほぼ支障が出ないとされています。歯みがきにデンタルフロスをプラスするひと手間が、その20本を守れるかどうかを長い目で見れば大きく左右します。差は歯の数だけにとどまりません。笑ったときの歯の美しさにも、確実に現れてきます。
口元への意識が、人生そのものを動かす
歯に意識が向いた人たちに共通する行動パターン
歯への意識が高い日本人に出会うと、私はついその背景を聞いてしまいます。欧米での駐在経験があること、あるいはそれなりの地位の人と日常的にコミュニケーションをとる環境にあることそうした共通点が浮かびあがってきます。そしてもう一つ、彼らに共通しているのは、問題を先送りにせず、気になったらすぐに動くという行動力を持ち合わせている点です。人生にマイナスになりそうな芽は、小さなうちに摘み取ることを惜しみません。
「口元に気を使い始めてから、自分が変わった」と、彼らは口を揃えて言います。外見が変わったというより、内面が変わったと感じている人がほとんどです。矯正を終えたある患者さんは、こう話してくれました。朝、髭を剃るとき鏡に向かってニッと笑うのが日課になった。根拠はないけれど、なんだか今日もうまくいきそうな気がすると。
きれいな歯が、笑顔と行動を変える
歯がきれいになってから、仕事が順調に動き始め、人と会うことが楽しみになり、フットワークが軽くなった。人脈が広がり、毎日が充実している。そう話す患者さんを、私は何人も見てきました。内面の変化は周囲にも伝わるようで、性格が変わったと言われる、そんな声も珍しくありません。
歯がきれいになると、笑顔を見せることへの抵抗がなくなります。笑顔が増えれば表情が明るくなり、自信が生まれ、それがさらに行動を変えていく。歯への意識は、生活スタイル全体をプラスの方向へ引っ張っていく力を持っています。歯がきれいな人でスーツがヨレヨレ、という人を見たことがないのは、そういうことだと思っています。
欧米人も生まれつき歯が美しいというわけではありません。日々の習慣と努力の積み重ねが、あの歯と笑顔と自信をつくっているのです。口元から意識を変えていくことは十分できます。遅くはありません、今からはじめていきませんか。

コメント