最新科学で続々判明、歯が全身の健康を大きく左右していた
健康な歯は全身の健康への第一歩
欧米人と日本人における「歯」に対する意識の違いについて書いてきました。欧米エリートが歯を大切にしている理由は、以下の3点に集約できます。
・美しい歯は、富、育ちの良さ、ステータスの象徴である
・美しい歯は、自己管理能力を反映する
・美しい歯は、自信溢れる笑顔の発信源である
多くのことに当てはまりますが、国による考え方の違いには、それぞれの文化が大きく影響しています。ですから当然、欧米諸国と日本の歯に対する意識の違いにも、歴史的、文化的差異が影響しています。
欧米人にとっての美しい歯は、歯並びが良く、艶のあるきれいな歯。つまり、見た目が重視されています。美しい歯=その人のステータス、を伝えるツールだからです。しかし、彼らは見た目だけのために、歯に貴重なお金と時間を投資しているわけではありません。
欧米では歯科治療に保険がきかず、治療となった場合には膨大な費用が発生することは、これまで書いてきた通りです。こうした医療制度の元で暮らしているがために、彼らは幼い頃から予防のために定期的に歯科医院に通って、歯の健康について正しい教育を受ける機会に恵まれます。
そこで歯医者は彼らに徹底的に刷り込みます。「歯が不健康であれば、全身もまた不健康になる」と。言い換えれば、歯が健康であれば、全身の健康につながるということです。
つまり、健康な歯は、全身の健康の基盤である
これこそが、欧米の、中でも将来を見越した判断のできるエリート層が、こぞって歯を大切にする第4の理由なのです。
一方、日本人の多くは、全身の健康には気を使いますが、歯の健康には無関心な人が多いように感じられます。
これではまるで「医者と歯医者」「医科と歯科」の間に、何かしら太い境界線があって、口の中だけが、全身から放り出されたよう。みなさん、変だと思いませんか?
よく考えてみてください。本来、歯学は医学の一分野であり、口は身体を構成する重要な一器官で、生きるためには欠かせない、食物が身体の中に入る入り口です。
そこが不健康であれば、当然身体にも支障が出てくるでしょう。
健康で長生きしたい、いつまでも美味しく物を食べていたい、この欲求は全ての人が持っているものです。
私は歯の健康が全身の健康につながることをみなさんに広めることを目標としています。「全身を健康にするにはまず歯の健康から」――健康であるためにも「歯」がいかに重要なのか、日本人の歯に対する意識改革へとつなげていければ嬉しく思います。
定年前に歯のメンテをやっておけばよかった……
2012年、プレジデント社が行った、定年退職した55〜74歳の男女1060人を対象とした「『リタイア前にやるべきだった…』後悔トップ20」というアンケート調査において大変興味深い結果が出ていましたのでご紹介します。
このアンケート調査は、各部門に分かれており、その中の健康部門における順位結果を挙げると、第2位は「スポーツなどで体を鍛えればよかった」、第3位が「日頃からよく歩けばよかった」、そして第4位は「暴飲暴食をしなければよかった」という結果でした。
「健康」面で、運動や食事に関わるものが上位に来るのは、想像に難くないと思います。
そんな中、これら「あるある」を抑えて第1位に躍り出たのが、「歯の定期検診を受ければよかった」でした。リタイアした多くの方々が、歯のメンテナンスをしておけば良かったと、後悔している姿が浮かび上がってきたのです。
人間若くて元気なうちは、歯に対して意識を向けることはほとんどないでしょう。しかし、年齢を重ね、次第に歯がゆれ始め、ついに抜け落ち、食べることに不自由さを感じるようになって初めて、歯の大切さに気付きます。しかし、残念なことに、気づいたときにはもう手遅れなのが「歯」なのです。
こうした先輩たちのメッセージを、あなたは真摯に受け止めますか、それとも笑い飛ばしますか?
今や超高齢化社会に突入している日本。医療先進国として名高いものの、積もり積もった国民医療費が国家予算を圧迫し、医療は「予防」へとシフトし始めています。
そんな中、近年言われているのが、歯と全身健康との関連です。
歯周病が、糖尿病や循環器疾患などの全身疾患に関与していることが次々と明らかになってきたのです。つまり、歯を健康に保つことができれば、そうした全身疾患のリスクを下げることに貢献します。さらには、歯を健康に保つことが各家庭の医療費支出を抑えることにもつながります。
2012年、デンソー健康保険組合が組合員を対象に行った分析によると、定期的な歯科検診を実施している事業所では、医療費(医科と歯科の医療費を含む)が15年間で最大23%減少したと報告しています。一方で、歯科検診を実施しなかった事業所では医療費が24%も増加していたのです。
つまり、定期的な歯科検診を受けることで、全身の健康維持や向上に寄与し、結果として総医療費が削減できるというわけです。
超高齢化社会を目前にしている日本ですが、老後の医療費支出をいかに抑えていくか、これは早急に対応すべき深刻な課題であり、その課題解決の鍵を握っているのが、国民一人ひとりの歯の健康増進であると言えるのです。

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