外科手術と同じだけ手間をかけているかチェック
インプラントとは、骨に穴をあけて、ネジの形をしたインプラント体を埋入するという外科治療です。例えるなら人工関節を入れる整形外科手術と差がありません。
ですから、しっかりとした感染予防が必要となります。きちんとした医院では、細菌感染を防ぐために、医療ドラマなどでよく見かける一回使いきりの手術着を装着し、細心の注意を払ってインプラントの治療を行います。治療時の感染予防が、インプラント治療の予後を大きく左右するためです。
また、インプラント治療では、骨に穴をあけるとお伝えしましたが、骨の中には太い神経や血管があります。手術でそれらを傷つけることのないよう、術前にはCTを使った三次元的検査が必要となります。
さらに、患者さんの骨の状態や全身状態も、治療予後に大きく影響する因子です。骨の状態によってはインプラントが打てないという場合もあります。他にも、例えば糖尿病の患者さんは血が止まりにくく、傷の治りも悪いといったことがあるため、全身状態に関する検査が必要となります。こうした術前の精密検査などの必要性を含めると、インプラント治療にはある程度のコストがかかることは、ご理解いただけると思います。
つまり、価格が著しく低い場合、これらの検査や感染予防の対応などの中から何らかのものが抜け落ちてしまっているのだと断言できます。繰り返しますがインプラント治療は外科治療であり、豊富な知識と経験を積んだインプラントのエキスパートと、安全で衛生的な設備、細心の術前検査、術中管理が必要です(普通の歯科診療台で、通常の白衣でインプラントを埋め込むような歯科医院だったら、それだけで避ける理由になります)。
過去の報道などから、インプラント治療に対して良いイメージを持てない方もいらっしゃるかもしれません。しかし私は、健康な状態と同等に噛めるという点、そして周囲の歯への負担がないという点において、インプラントは有効な治療法と認識しています。
インプラントも天然歯にはかなわない
しかし、極論を言えば、どんなインプラントも自分の歯に勝ることはありません。
歯は骨の中に埋まっていますが、その歯と骨の間には、非常に薄い歯根膜という膜があります。この歯根膜の中には神経があり、噛んだ刺激を脳へと伝達し、「噛んだ!」という感覚を生み出す役目を果たしています。さらには、強く噛みすぎた場合に、瞬時に噛む力を弱めるといった、噛む力の加減を調節する働きも歯根膜にはあります。
しかし、当たり前ですが、インプラントの場合、歯根膜はありません。それゆえ、脳への信号がいかないことや、噛む力の加減調節が働かないことによって生じうる違和感(実際には、ほとんど感じないレベル)など、インプラントといえども限界があります。そうした状態が長く続くことによって、ほかの歯にも極わずかながら悪影響を及ぼす可能性も少なからずあります。
こうしたことを考えると、当たり前ですが「歯が抜けない」状況をつくること、つまり、歯を失う2大原因である歯周病や虫歯にかからないように「予防」することが、口腔崩壊を起こさない最大のリスク回避となります。

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