新しい矯正方法「マウスピース矯正」どこまで万能?

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近年、世界的にマウスピースを使った矯正が脚光を浴びています。

気付かれずに、美しい歯並びをを売り文句にした矯正治療で、樹脂製の透明なマウスピースを歯に装着し、それを何枚も交換していくことで歯並びを治していくものです。
矯正といえば、歯の表面につくギラギラとした金属製の装置(「ワイヤー矯正」)を思い浮かべる方が多いでしょう。この従来型の矯正方法は今でも主流ですが、これには「治療中の見た目が悪い」という大きな欠点があります。このマウスピース矯正は、その問題を見事に解決するかの如く現れた画期的治療法が、これまでに世界各国の80万人を超える患者さんが、このインビザライン・システムを用いて治療を行っており、今後ますます広がっていくものと予想されています。最も有名なものが、米国アライン・テクノロジー社が提供する「インビザライン・システム」です。


現状、マウスピース矯正のシェアは、アライン・テクノロジー社が群を抜いていますが、米国のスマイルトゥルー、キレイライン、また2019年9月にナスダック市場に上場したスマイルダイレクトクラブ等、類似業者の新規参入が後を絶たず、今後の矯正治療は全てマウスピース矯正にとって代わられるのではと思われるほど急拡大しています。
こうした動きにより、治療費にも市場原理が働き、矯正の費用が下がってくる可能性も出てきました。そんないことずくめとも受け取れるマウスピース矯正ですが、実際のところその実力のほどはいかがなものでしょうか。


まず、一般的なマウスピース矯正のメリットを挙げてみますと、大きく3つあります。
1つ目は、見た目や気付かれにくいこと。当然これが最大のメリットでしょう。
2つ目は、矯正治療を開始する前に、コンピュータ上で矯正後の歯並びをシミュレーションすることができるという点です。つまり、どのように歯が並ぶのかを事前にモニター上で確認し、それに納得した上で治療が受けられるという点です。
そして3つ目は、矯正治療中でも歯みがきがしやすいこと。マウスピース矯正では、歯みがきはマウスピースを取り外して行うので、何も邪魔するものがなく、矯正治療前と同じ状態で歯みがきができます。


ただし、こうしたメリットがある一方、マウスピース矯正には弱点があります。矯正治療では歯並びのガタガタ度合いに応じて抜歯を必要とする場合があることは既に述べた通りですが、その場合、抜いた歯のスペースを詰めるだけの大きな歯の移動が必要となります。しかし、現段階のマウスピース矯正では、そこまでダイナミックに歯を動かすことが難しく、治療できる患者さんが限定されてしまうのです。
治療には向いているとは言い難く、マウスピースで治療を希望される場合には、妥協案として、歯を抜かないで可能な範囲で治療を行うか、もしくは、歯を抜いた場合には、ある段階までワイヤー矯正で歯を移動させた後にマウスピース矯正に移る等の工夫を凝らし対応していきます。

「どこでも均一」は嘘、技量不足の歯科医師は避けよう

誤った情報も広まっています。それは、「マウスピース矯正はコンピュータがシミュレーションするから、どの医院でも全く均一の治療が受けられる」という誤解です。決してそんなことはありません。歯をどう移動させていくかの治療方針について、歯科医師が自身の経験則や患者さんの希望を組み込みながら、最終的に実現可能と判断できるものを作製していきます。が第一にあります。しかし、歯科医師の高度な診断技能がそういった判断は、矯正治療を何年も経験してきた歯科医師の高度な診断技能があるのです。
ところが、マウスピース矯正は歯科医師免許さえあれば誰でも治療が可能なため、「儲かりそうだ」と矯正治療の経験や技能が乏しいのに手掛ける歯科医療機関と歯科医師もいるのです。これはマウスピース矯正に限った話ではありませんが、治療を行う歯科医師を、患者さんはしっかり見極める必要があります。
以上から、マウスピースは万能かと問われると、言葉を濁さざるを得ません。しかし、幼い時に矯正した後の後戻りのケースや、歯を抜く必要がない程度のガタガタのケースであれば、マウスピース矯正でも十分にきれいな歯並びに導いてくれます。

何よりも矯正治療中に見た目を損なわないのは最大の強みです。ワイヤー矯正と比べれば歴史も浅く制限もある治療法ですが、今後も急速に技術のアップデートが続くことは予想するに易く、近い未来、全ての矯正がマウスピースにとって代わられる日がくるかもしれません。
最新技術で見た目が良いなどメリットも多いが弱点もあり。技量差も大きいのでベテラン専門医に相談を。

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この記事を書いた人

歯科医師・歯学博士
国立大学法人東京医科歯科大学歯学部歯学科首席卒業。
在学時、英国キングスカレッジ・ロンドン歯学部に留学。その後、東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医を経て、東京医科歯科大学大学院に入学し博士号取得。大学院在学中には日本学術振興会特別研究員も務める。
日本歯科総合研究所を2017年に設立し、代表取締役社長に就任。
「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。

〈メディア実績〉
・フジテレビ ほんまでっかテレビ
・テレビ東京『なないろ日和』
・小学館『女性セブン』
・日本歯科新聞
・講談社『mi-mollet』
・テレ東プラス+
・光文社『CRASSY』
・PIVOT

〈監修〉
・コニカミノルタ口臭測定器
『kunkun dental』監修

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