日本人はなぜあんなに歯が汚いんだ?
イギリスに留学していた時に、さんざん聞かれた質問です。
この汚いという言葉には、歯並びの悪さ、口臭、歯の黄ばみ、目立つ銀歯そのすべてが含まれています。欧米では歯はその人の育ちや教養を映すシンボルです。それに気を配らず放置している日本人を、不思議に、時には嘲笑や軽蔑のまなざしで眺めていたのです。
欧州でも低所得層など、歯に限らず健康にお金も意識も回す余裕のない層は一定数います。しかし、留学したり一流企業に勤めて海外に駐在するような人々の中に、歯を汚いまま放置している人はいません。それだけに、海外で見かける日本人の歯の状態は目立ちましたし、異様に思われたのでしょう。
実際に海外に出た人や、国内でも外国人との交流が増えた人から、自分の汚い歯がコンプレックスで、自分の口臭が不安で、と嘆く声を多く聞きます。私自身、中学生の時に矯正をして歯並びを治していたから良かったものの、もし親が治療を受けさせてくれていなかったらそう思うことが留学中に何度もありました。
なぜ歯は汚くなるのか。主な原因と対処法
着色汚れ(ステイン)
紅茶を飲んだ後、カップに茶色い跡が残りますよね。実は、歯にも同じことが起きています。コーヒー・紅茶・緑茶・赤ワイン・カレーやケチャップなどの色素が強い食品、そしてタバコのヤニ毎日の積み重ねで、歯の表面のエナメル質に色素が沈着していきます。特にタバコのタールは頑固で、通常の歯磨きでは落ちにくいのが特徴です。
歯石・プラークの蓄積
プラークは食後約8時間で形成され始め、48時間で歯石に変化します。つまり、2日歯磨きを怠ると、もう歯ブラシでは取れない状態になってしまうのです。歯石は黄色っぽく、または黒っぽく見えるため、歯全体がくすんで見える原因になります。
虫歯による変色
初期の虫歯は白く濁って見えますが、進行すると茶色や黒に変色していきます。虫歯菌が作り出す酸によって歯質が溶け、そこに色素が沈着するからです。見た目の問題だけでなく、放置すれば痛みが出たり、最悪の場合は歯を失うことにもつながります。
歯並びの問題
意外に思われるかもしれませんが、歯並びも汚く見える原因のひとつです。歯が重なっていたり凸凹していたりすると磨き残しが増え、プラークが付着しやすくなります。影ができて暗く見えるため、全体的な清潔感も損なわれます。見た目だけでなく、上手く噛めない、口臭が目立ちやすくなるといった機能的な問題も生じやすくなります。
加齢による黄ばみ
年齢を重ねると、歯の摩耗や酸性の飲食物によって表面のエナメル質が薄くなり、内側の象牙質が透けて見えるようになります。象牙質はもともと黄色っぽい色をしているため、歯全体が黄色く見えてきてしまいます。これは避けられない自然な現象ですが、日頃の適切なケアで改善は十分可能です。
自宅でできる改善方法
正しい歯磨き法をマスターする
毎日ちゃんと磨いていますという方も多いのですが、正しく磨けている人は意外と少ないのです。1日2から3回、各3分以上を目安に、ゴシゴシこすらず小刻みに歯ブラシを動かすこと。歯と歯茎の境目を意識して、毛先を45度の角度で当てるのがポイントです。力を入れすぎは逆効果で、優しく丁寧にが鉄則です。
デンタルフロスを習慣化する
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは60%程度しか落とせません。デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると、90%以上まで向上します。最初は面倒に感じるかもしれませんが、慣れれば1から2分で終わります。
ホワイトニング歯磨き粉を選ぶ
市販のホワイトニング歯磨き粉には研磨剤や薬用成分が配合されています。ただし、研磨剤が強すぎるものは歯を傷つける可能性があるため注意が必要です。低研磨性で、ポリリン酸やハイドロキシアパタイトなどの薬用成分とフッ素が配合されているものを選ぶのがおすすめです。
食後の習慣を見直す
食後すぐに歯磨きできない場合は、水でうがいするだけでも効果があります。食後にガムを噛むことで唾液の分泌が促され、自浄作用が高まります。コーヒーや紅茶を飲む際にストローを使うと歯への着色を軽減でき、飲んだ後にうがいをするだけでも着色を防ぐことができます。
舌磨きと口の中の保湿を意識する
舌苔と呼ばれる白っぽい汚れが溜まると、口臭の原因になります。舌ブラシや柔らかい歯ブラシで、優しく奥から手前に向かって磨きましょう。また、口の中が乾燥すると自浄作用が低下し、汚れが溜まりやすくなります。こまめな水分補給と、ガムを噛んで唾液を出す習慣が口腔環境の改善につながります。口呼吸をしている方は特に乾燥に注意が必要です。
原因を理解し、適切な対策を取れば、歯の汚れは必ず改善できます。完璧を目指す必要はありません。まずは今日から、一つだけ新しい習慣を始めてみてください。

コメント