口臭の原因となる「舌苔」の付きやすさは、何によって決まってくるのでしょうか。いろいろな理由がありますが、中でもだ液の分泌量が、舌苔の付着量に大きく影響しています。だ液には、口の中をきれいに洗浄する自浄作用や抗菌作用があります。それゆえに、虫歯予防にはだ液の分泌量が重要であるという話をしました。このことが舌についても当てはまります。
だ液の分泌が少なくなり口が乾燥してくると、だ液の作用が低減するため、舌苔の付着量が増えてしまうのです。
では、単に口の中を水で潤せば口臭がしなくなるのか? というと、そう単純ではありません。
ある興味深い実験データがあります。
だ液の分泌が減少し、口臭が強くなりやすい空腹時に水を飲んだら、口臭が消えるか否かを検証する実験です。
水を飲む前後で、口臭の値を測定したところ、そのにおいは両者で変化はありませんでした。つまり、口臭を減らそうと口を水でぬらしても効果は見られないのです。そこで舌を確認してみると、舌苔がべったりとついていました。においの元となる舌苔は、水分を摂っただけでは、簡単には剝がれないのです。
流動食を摂取し続けた高齢者や手術後の患者さんの口の中を見ると、舌が真っ白ということがよくあります。分厚い舌苔が舌一面に付着しているのです。この場合に、水を飲ませても、先ほどの実験と同じように、においが減ることはありません。
そこで、水の代わりに、固形食を食べさせたらどうでしょう。舌苔の量が減少し、見事ににおいが減少するのです。
固形食を摂ると、食べ物と舌が接触し、まただ液の分泌が増えることも相まって舌苔が剝がれていきます。つまり、口臭を減らすためには、水を飲むのではなく、食事を摂らなければいけないのです。
ですから、時間がないからといって朝食を摂らずに、ジュースだけを飲んで出勤するような場合は、口臭リスクがとても高くなっていますから、要注意というわけです。

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