電子タバコ(加熱式タバコ)は歯周病を悪化させるって本当?

俗に言う「加熱式タバコ」=電子タバコ・iQOS(アイコス)などに変えたことで歯科医院に飛び込んでくる患者さんが急増中です。

 「電子タバコを吸い始めたら、歯ぐきが痛くなった。酷いときには出血もある」「電子タバコに替えたら歯周病になってしまった」などと訴えます。

紙巻タバコが、歯周病の主要なリスクファクターであることは本章で既に述べた通りです。喫煙者は非喫煙者と比較して、2〜8倍も歯周病にかかりやすいことが明らかとなっています。

具体的には、喫煙によってタールが口の中の粘膜に吸収されると、だ液の分泌量が減少し、歯周病の原因であるプラークや歯石が歯に付着しやすい環境が形成されます。そこに、血管を収縮させる作用を持つニコチンが加わることによって血液循環が悪化し、歯ぐきに酸素や栄養が十分に供給されなくなり、歯周病が進行、悪化しやすい状況となります。

一方、電子タバコは悪玉であるタールを大幅に減らしています。にもかかわらず、歯科診療の現場では「電子タバコに替えたら歯ぐきが痛くなった」という一見すると逆の現象が起こっています。

何故でしょうか。実は、タールは身体に有害作用を示す一方で、「炎症を抑える作用(抗炎症作用)」や「抗ウイルス作用」を持っているのです。実際、タールは風邪や、インフルエンザに対して予防的な治療作用を持ちます。その延長線上で、タールは歯周病に対しても治療的な一面を発揮するのです。つまり、タールが多く含まれる紙巻タバコを日常的に喫煙していると、歯周病によって生じる歯ぐきの痛みや腫れといった症状が、タールの作用によって知らず知らずのうちに抑えられてしまっているのです。

喫煙者の多くは歯周病を抱えています。しかし、タールの作用により、その症状に気付きにくい状況になっています。このため、たとえ歯周病が重度に進行していたとしても、痛みを感じることが少ないのです。

ですから、電子タバコに替えたことにより歯ぐきが痛くなったのは副作用ではありません。正しくは、タールが削減された電子タバコに切り替えたことにより、もともと患っていた歯周病由来の歯ぐきの痛みや腫れを抑えることができなくなり、その症状が顕在化したのです。

もしみなさんの中に「従来の紙巻のタバコから電子タバコに替えてから歯ぐきが痛むな……」という違和感がある方がいらっしゃいましたら、十中八九、歯周病に罹患していると考えられます。早急に歯科医院の受診をお勧めいたします。

ホント
電子タバコ(加熱式タバコ)は騙していた歯周病の痛みを表面化させる

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