このように社会全体がにおいに対して敏感になっている中、「体臭」のカテゴリーにおいて最も気になるにおいとして指摘されているのが、「口臭」です。
2009年にグリコが全国の20〜50代の男女800人を対象に、自分および他人のにおいに対する意識調査を行いました。その調査によると、汗臭さや加齢臭を抑え、気になるにおい第1位が「口臭」でした。80%強もの人が、他人の気になるにおいとして「口臭」を挙げたのです。
また、2017年にインターワイヤード株式会社が約4000人を対象に、口臭についての意識調査を行った結果、グリコの意識調査結果と同じく約8割の人が、「他人の口臭が気になる」と答えました。更に、他人の口臭が気になった場合の対処法についても追跡したところ、「息を止める」が38・2%で第1位、次いで「その場から離れる」が29・1%という結果が得られました。
つまり、相手の口臭が気になったとしても、そのことを指摘することはなく、多くの場合は回避行動に出るのです。家族間であっても口臭は指摘しづらいものですから、赤の他人であればなおさらのことでしょう。「あなたの口が臭い」と指摘はされず、離れて行ってしまうのです。
そして大変恐ろしいことに、国内外の口臭調査によると、なんと現代人の約3人に1人の割合で口臭があるということが報告されているのです。
なぜ自分のにおいには気がつかない?
強烈な口臭を放っているのに、当の本人は気が付いていない、実のところ、これはよくあることです。部屋の中がタバコ臭くても、居住者は気にならないのと同じ現象です。
人は、日常的に嗅いでいるにおいに対して、それをにおいとして感じなくなってしまう性質があります。この現象を「順応反応」といい、嗅細胞の受容器が疲労して嗅覚が鈍くなるために生じるもので、我々動物が命を守るために元来、備わっているものです。
もう少し詳しく解説します。いつも身近に「あるにおい」があったとしましょう。そのにおいに対していつも反応していると、いざ別の危険なにおいがしたときに、反応が遅れてしまい、命の危険に繋がります。最悪の事態を回避するために、日常的に感じるにおいには慣れ、別のにおいがした時には、すぐに感知できるようになっているのです。
この機能は、動物が生存していく上では欠かせないものです。しかしその一方で、我々人間にとっては悩みの種ともいえるでしょう。口から不快なにおいを強く発していたとしても、そのにおいが持続的であればあるほど順応してしまい、自分自身では気が付かない状況を生んでしまうからです。
そんな理由から、近年では、自分のにおいをチェックするために「体臭測定器」なるものが発売されています。有名なものでは、コニカミノルタの「Kunkun body(クンクンボディー)」や、タニタの「においチェッカー」などです。特に、Kunkun bodyは口のにおいや加齢臭、汗臭などの各体臭を、AIにより他人にとって気になるにおいかどうかを数値化することを可能にした、最新の簡易持ち運び型の体臭測定器です。
スメハラで訴えられかねない恐ろしいこのご時世においては、これらが必須のアイテムとなっていくかもしれませんね。

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