大人の虫歯は子どもの頃の再発が大半・虫歯予防は幼少期から20歳までが肝

大人になってからの虫歯とは、子どもの頃に治療した虫歯が再発したものである場合がほとんどなのです。裏を返せば、幼い頃に虫歯を作らなければ、年をとってから新しい虫歯で悩むことはない、ということです。
虫歯になった場合、削って虫歯の原因菌を除去し、新たに虫歯の原因菌が侵入しないように蓋をします。当然ですが、治療したところに新たに細菌が入らなければ、虫歯が再発することはありません。
しかし、治療に使用した詰め物やかぶせ物は長い年月を経て、少しずつ劣化していきます。特に、口の中は常に水分たっぷりで、過酷な環境下にあります。加えて、噛むという負荷がかかり、ひずみが生じやすいため、状況は一層深刻です。また、口の中は熱い物が入ったり、冷たい物が入ったりと、温度の変化も激しいでしょう。この温度変化の影響で、詰め物やかぶせ物は、わずかな膨張や収縮を繰り返し、変形していきます。

こうした状況のもと、歯と詰め物や被せ物の間には隙間が生じて、その隙間から細菌が侵入してくるのです。この場合、表面からは見えにくいため、初期段階では放置しがちで、痛みを感じて受診したときには神経まで傷ついていることも少なくありません。
つまり、一度でも削ったことのある歯は、その後、細菌が侵入するリスクを負い続ける運命にあります。また、再治療した際に、わずかに細菌が残っていたりすると、それが原因となって再発することもありえます。いずれにせよ、歯は一度削ると細菌感染のリスクが一気に上がり、結果的に再発を繰り返し、最終的に抜け落ちるリスクを抱えることとなります。
よって、「歯を削らない」ことが、歯を守る上で最も大切です。
そのためには、虫歯が最もできやすい子どもの頃に虫歯を作らないことが重要です。子どもの頃に虫歯ができやすいのには、明確な理由があります。その理由は第4章で詳しくお話ししますが、要するに、生えたての歯というのは歯質が脆弱なため、虫歯になりやすいのです。
このため、生えたばかりの弱い歯質から、強い歯質へと成熟していくまでの数年間が、虫歯予防における重要な期間となります。
つまり、虫歯予防は、虫歯に最もなりやすい幼少期から20歳までが肝なのです。


一流の意識を持つ人なら家族の健康にも気を配るものです。矯正もそうですが、欧米の中流以上の家庭では、我が子に幼いうちから歯みがき習慣を身に着けさせ、定期的な歯科検診も欠かさないのは、「歯は幼少期が肝心」と古くから理解されているからでしょう。
とはいえ、我が子の歯の健康に気を配るのはまだ間に合うとしても、「私の口は、小さい頃に虫歯になって治療した歯でいっぱいだ。今さら一体どうしたらいいのか!」と嘆き悲しむ方もいらっしゃることでしょう。
残念ですが、一度治療した歯は、虫歯の再発するリスクが高い——これは変えようのない事実です。ですから、この先こそ口腔ケアを怠ってはいけません。何度も繰り返しますが、虫歯が二度、三度と再発したのを治療すればするほど、削る歯の量は増します。すると、歯はますますもろくなっていきます。よって、あなたの口の中の歯が、既に治療で削った歯しか残っていない場合でも、より一層念入りに虫歯の再発予防に努めることが必要不可欠なのです。


一方で、子どもの頃の虫歯の再発ではなく、大人になってから新しくできる虫歯も、実はあります。それは、歯周病の進行とともに歯ぐきが下がり、もともと歯ぐきの下に隠れていた歯の根っこが露出した箇所にできる虫歯です。
これは「根面う蝕」と呼ばれています。根面う蝕は、歯の頭を支える細い首の部分にできる虫歯です。そのため、虫歯が深い場合は削る量が大きくなり、最悪、そこを起点に首から上の部分が折れる原因にもなります。年をとるにつれ、多くの人は歯ぐきが下がっていきますから、根面う蝕の予防のためにも、しっかりと口腔ケアを行うようにしましょう。

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